滋賀県医師協同組合 Shiga Medical Cooperative Association

滋賀県医師協同組合は、滋賀県の開業医のための組合です。


今までのご説明で相続税の概略は分かりましたが、では相続税の計算方法はどのように行うのでしょうか?具体的数値を用いて簡単にご説明下さい。
今までの内容を踏まえて、実際にその後の相続税額の算出方法のご説明を致します。
相続人と相続分の確定 相続財産の評価・計算
生前贈与加算 遺産に係る基礎控除
相続税の総額及び各人の
算出税額の計算
相続税額の加算
贈与税額控除 配偶者に対する相続税額の軽減
未成年者控除 障害者控除
相次相続控除 外国税額控除

被相続人  =======配偶者 
子                     子

相続人と相続分の確定   詳しくはPARTをご覧下さい。
相  続  人 相  続  分
配偶者  1/2
子  1/2×1/2=1/4
子  1/2×1/2=1/4
(注1)遺言による受遺者がなく、各法定相続人が各人の法定相続分どおり遺産を相続するもの仮定とします。

相続財産の評価・計算
相続税法に基づき遺産の評価をした後に相続税の計算の基礎となる財産の価格を計算します。その財産の価格は、被相続人のプラスの財産から借金等のマイナスの財産を控除して計算します。
土地、建物等
プラスの財産

(30,000万円)
債務、葬式費用
マイナスの財産

(5,000万円)
相続税の計算の基礎となる財産の価格
(2,500万円)

相続人 相 続 財 産 債 務 控 除 純資産価格
30,000万円 × 1/2 = 15,000万円   15,000万円
30,000万円 × 1/4 =  7,500万円   2,500万円   5,000万円
30,000万円 × 1/4 =  7,500万円   2,500万円   5,000万円
             30,000万円 5,000万円 25,000万円
(注2)債務は、相続人及びが負担したものとしています。

生前贈与加算
生前贈与加算とは…
相続開始前3年以内に(今回の相続に係る)被相続人から贈与を受けていた場合、その贈与財産を相続税の課税価格に足し戻し、相続財産として計算し直すことをいいます。

(注3)足し戻される贈与財産は、過年度の贈与税の申告の有無を問いません(基礎控除以下の贈与であっても足し戻します)。なお、足し戻された贈与に係る贈与税については、今回の相続に係る相続税から控除されます。

ここでは、相続人が、一昨年に被相続人から1,000万円の贈与を受けていたものとします。
(贈与税額283万円)
相続人 純 資 産 価 格 生前贈与加算 課 税 価 格
15,000万円   15,000万円
  5,000万円   1,000万円   5,000万円
  5,000万円     5,000万円
25,000万円   1,000万円 25,000万円


遺産に係る基礎控除
生前贈与加算後の課税価格の合計額まで計算できましたら、次に下記の遺産に係る基礎控除額を計算して課税価格の合計額から控除します。

遺産に係る基礎控除  5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
              = 5,000万円+1,000万円×3
              = 8,000万円

    課税遺産総額 課税価格の合計額 △ 遺産に係る基礎控除
              = 26,000万円 △ 8,000万円
              = 18,000万円(税額計算の基になる金額)


 
相続税の総額及び各人の算出税額の計算
課税遺産総額(上記)までの計算ができましたら、次に相続税の総額を計算し、その後にその総額を各人の財産の実際の取得割合に応じて分配します。

相続税の総額
相続税≠各人別の実際の遺産取得額×税率

それは、次のような手順で計算します。

 一旦、課税遺産総額を法定相続人が各自の法定相続分どおりに遺産を取得したものとして分割した価額を算出します。
  (法 定 相 続 分) (法 定 相 続 人)
×1/2=9,000万円
(配偶者:
×1/4=4,500万円
( 子 :
×1/4=4,500万円 ( 子 :

 そして、上記で算出した各法定相続分に応じた相続税率を乗じて各相続税を計算し合計します。
(法定相続人) (法定相続分)
(配偶者: 9,000万円 × 30% △ 520万円 = 2,180万円 (下記速算表より。以下同じ)
( 子 : 4,500万円 × 25% △ 270万円 =   855万円
( 子 : 4,500万円 × 25% △ 270万円 =   855万円

                        3,890万円

相続税の総額(相続税の速算表の一部抜粋)
各法定相続人の取得金額 A 税 率 B 控 除 額 C
800万円以下 10%
1,600万円以下 15% 40万円
3,000万円以下 20% 120万円
5、000万円以下 25% 270万円
1億円以下 30% 520万円
相続税=A×B-C
各人の算出税額
上記で算出した相続税の総額を各相続人の実際の遺産の取得割合に応じて按分(各相続人の課税価格/課税価格の合計額=按分割合(注4))します。
  (注5)接分割合
×15,000万円 / 26,000万円 (0.577) =  22,445,300円 
×  6,000万円 / 26,000万円 (0.230) =  8,947,000円 
×  5,000万円 / 26,000万円 (0.193) =  7,507,700円 

(注4)小数点以下2位未満の端数がある場合には、その財産を取得した者全員の選択した方法により、各人の取得割合の合計値が1となるように、小数点以下2位未満の端数を調整して各人の相続税額を計算することが認められています。ここでは、便宜上小数点以下4位を数値の大きいものから順に切り上げてあります。

(注5)
15,000万円 / 26,000万円 = 0.5769 … → 0.577 

  6,000万円 / 26,000万円 = 0.2307 … → 0.230 

  5,000万円 / 26,000万円 = 0.1923 … → 0.193 
                            1.00

相続税額の加算
相続等により財産を取得した者が、被相続人の配偶者及び一親等の血族(代襲相続人を含む)以外の者である場合、その者の算出税額に次の金額を加算します。
対象となる者の算出税額×20%  
又は  のいずれか少ない額
対象となる者の課税価格×70%  

これは、被相続人の財産形成への貢献度や子への財産の相続をとばし、孫等に財産を遺贈することにより相続税の課税を1回免れることを避ける等の弊害を考慮して設けられた規定です。

ここでは対象となる者がおりませんので、次に進みます。

贈与税額控除
の生前贈与加算の適用を受けており、かつそれにかかる贈与税を支払っている場合、その者にかかる算出税額からその贈与税額を控除します(注6)。

ここでは、相続人が、一昨年に被相続人から1,000万円の贈与を受け、贈与税283万円を支払っておりますので、この金額が今回のの相続税額から控除されることになります。

8,947千円 △ 2,830千円 = 6,117千円

(注6)ただし、贈与税額控除の適用を受ける者が、被相続人から贈与を受けた年と同じ年に他から贈与を受けている場合には、次の算式により控除税額を算出します。


被相続人から贈与を   同左年分の贈与財産のうち生前贈与加算
を受けた財産の価格
  ×
受けた年分の贈与税額   同左年分の贈与財産の価格の合計額
これは、贈与税と相続税との二重課税の排除等のために設けられています。

 
配偶者に対する相続税額の軽減
同一世代間における財産の移転による次の相続開始時期への考慮、配偶者の相続財産の維持形成に対する貢献度や配偶者の老後の生活保障等を加味し設けられたもので、一定の範囲までは相続税がかからないようになっているものです。
    下記のいずれか多い方    
相続税の総額 ×
22,442,307円
(3,890万円)   課税価格の合計額
(下記参照 26,000万円)
  (端数処理の関係で若干税額が出ます)

:配偶者の法定相続分

  26,000万円 ×1/2 =13,000万円 <16,000万円
    (16,000万円に満たない場合には、16,000万円)
                          ∴16,000万円

:配偶者の実際取得価格 15,000万円

 >  ∴15,000万円
この規定の適用後の各人の算出税額
       22,445,300円 △ 22,442,307円 =     2,993円
     (配偶者に対する相続税額の軽減)
   8,947,000円 △   2,830,000円 = 6,117,000円
                 (贈与税額控除)
                         7,507,700円

未成年者控除
相続等により財産を取得した者が一定の要件を満たす未成年者である場合、その者の成年までの養育費の負担等を考慮して設けられた規定です。

一定の要件…下記のすべてに該当する者
  ① 無制限納税義務者(注1)
② 法定相続人
③ 20歳未満

(注1)無制限納税義務者

相続等により財産を取得した個人で、その財産を取得した時において法施行地(日本国内)に住所を有する者をいいます。

        控除額 = 6万円 △ (20歳 △ その者の年齢
                            1年未満の端数切捨

ここでは、18歳(18歳6ヶ月)であるものとして計算してみます。

        6万円 △ (20歳 △ 18歳)=12万円
                18歳6ヶ月→18歳
(注2)未成年者控除は、その対象者が相続を放棄している場合においても、遺贈により財産を取得しているときは、この規定の適用が受けられます。(下記10において同じ)

(注3)未成年者控除の金額をその対象者の相続税額から控除しきれない場合には、その控除しきれない金額はその者の扶養義務者で、同じ被相続人からの相続等により財産を取得した者の相続税から控除できます。(下記10において同じ)

障害者控除
相続等により財産を取得した者が一定の要件を満たす障害者である場合、その者の生活保障等を考慮して設けられた規定です。
  ① 無制限納税義務者 (注1)
② 法定相続人
③ 70歳未満で、かつ障害者 (注4)

(注4)障害者…一般障害者 3~6級
          特別障害者 1~2級

        控除額 = 6万円 △ (70歳 △ その者の年齢
 特別障害者の場合には、12万円      1年未満の端数切捨

ここでは、21歳(21歳9ケ月)で、一般障害者であるものとして計算してみます。

         6万円 △ (70歳 △ 21歳)=294万円
                     21歳9ヶ月→21歳
これらの規定の適用後の各人の算出税額
 22,445,300円  △ 22,442,307円 = 2,993円
         (配偶者に対する相続税額の軽減)
  8,947,000円  △ 2,830,000円 △ 2,940,000円 = 3,177,000円
             (贈与税額控除)   (障害者控除)
  7,507,700円 △ 120,000円 = 7,387,700円

相次相続控除
通常は、ある相続開始の時から次の相続開始の時までの期間が長いので、次の相続にかかる税金の負担についてはあまり問題となりませんが、その期間が短い場合には、税負担が大きくなりますので、その場合の負担の調整を図るために設けられた規定です。

適用要件:今回の相続(第二次相続)に係る被相続人が、第二次相続開始前10年以内に開始した相続(第一次相続)により財産を取得し、相続税が課されていること

控除適用対象者:第二次相続により財産を取得した者(放棄、相続権を失った者を除く)

適用要件

    第一次相続 ←              10年                 → 第二次相続



    相続により←-------------------------------------------------被相続人
    財産取得、                                  ↓
    相続税課税                     適用対象者:第二次相続により財産を取得した者
                                         (放棄、相続権を失った者を除く)

100 100 10△
控除額 ×


×
()

100
100
10
(年10%の逓減率)

上記控除額()の各相続人への按分→ X
:第一次相続により課された相続税額(付帯税を除く)
:    〃    取得した財産の価額(債務の額を控除した金額)
:第二次相続により相続人等の全員が取得した財産の価額
(債務の額を控除した金額)の合計額
:    〃    相続人が取得した財産の価額
(債務の額を控除した金額)
:第一次相続開始の時から今回の相続開始の時までの期間に相当する年数
(1年未満の端数切捨て)

ここでは被相続人 が、父の相続(5年前とします)につき、3,000万円を取得し、相続税480万円を納付しているものとします。
25,000 100 100 10△5
480万円 ×


×
3,000△480 100 100 10
=240万円

  15,000万円 / 25,000万円 = 144万円 > 2,993円
                  ∴2,993円
240万円 × 5,000万円 / 25,000万円 = 48万円
  5,000万円 / 25,000万円 = 48万円

これらの規定の適用後の各人の算出税額
    2,993円 △   2,993円 =      0円
 
 3,177,000円 △ 480,000円 = 2,697,000円
 
  7,387,700円 △ 480,000円 = 6,907,700円

外国税額控除
無制限納税義務者(PART10参照)が相続等により海外にある財産を取得した場合には、日本の相続税が課されますが、それと同時にその財産の所在する国においても相続税に相当する税金が課されることがあります。そこで、そのような場合の二重課税を排除するため、この規定が設けられています。

控除額

①外国で課された税額
      海外にある財産の価額(△同左に係る債務の金額)
②(相次相続控除後の)算出税額 ×
    (上記を取得した相続人等の)
純資産価額及び相続開始年分の贈与財産
③ ①、②のうち、いずれか少ない金額

ここでは相続人 が相続により取得した財産のうち、在外財産が邦貨換算額で1,000万円(これについて課せられた外国税額100万円)が含まれていたものとします。

① 100万円
  1,000万円  
② 6,907,700円  ×
= 1,381,540円
  5,000万円  
③ ① < ②     ∴100万円

これらの規定の適用後の各人の算出税額
        0円
 
  2,697,000円
 
   6,907,700円  △ 1,000,000円 = 5,907,700円
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