滋賀県医師協同組合 Shiga Medical Cooperative Association

滋賀県医師協同組合は、滋賀県の開業医のための組合です。



わたしは個人で趣味程度に株の売買をしており、その税金の申告にはいつも源泉分離課税を選択しております。しかし、先日、証券会社の人から源泉分離課税が今年一杯で廃止され申告分離課税に一体化されると聞きました。そうなると今までと異なり、申告手続がとても煩雑になるため、株の売買を止めようかとも思っていますが、それは本当なのでしょうか?
ご指摘のとおり、今回の税制改正により上場株式を譲渡した場合の申告方式については、平成15年1月1日より申告分離課税に一体化されることになりました。ただ、今回の改正では、単に源泉分離課税が廃止され、申告分離課税に一体化されるだけでなく、申告分離について様々な軽減策が講じられています。
源泉分離課税と申告分離課税 上場株式等の税率引き下げ
緊急投資優遇措置(塩爺税制) 上場株式の譲渡にかかる税率引き下げ
上場株式等の譲渡紛失の3年間繰越控除制度 上場株式等の8割原価の特例

源泉分離課税と申告分離課税
まず、株式の譲渡をされない方のために源泉分離課税と申告分離課税のご説明から始めます。
その前に、申告分離と源泉分離は上場株式の譲渡取引の都度選択できることを付け加えておきます。
まず、申告分離課税とは?
株式をその銘柄ごとに1年間の譲渡損益を把握し、次にその銘柄ごとの譲渡損益を通算し、その譲渡年分の確定申告により申告する方式です。ことばでは分かりづらいと思いますので、以下、具体的な例を挙げてご説明しましょう。

 下記のような場合 (すべて上場株式で、その年中の譲渡とします)

                    譲渡価額   取得原価    譲渡損益

           A社株式 100万円 △ 50万円  =   50万円

           B社株式 100万円 △ 120万円 = △ 20万円

          譲渡損益の通算 =(A)50万円 △(B)20万円 =  30万円
                                   ↑
         
                   他の所得とは分離して確定申告
次に、源泉分離税とは?
何やら難しいことばのようですが、しくみは簡単です。上記の申告分離課税のように個々の銘柄について譲渡損益を把握するのではなく、譲渡取引の都度、その譲渡収入(譲渡代金)の1.05%が納税額とみなされ、証券会社で源泉徴収(天引き)され、納税が完結する方式です。したがって、確定申告をする必要はありませ ん(というよりできません)が、譲渡損が生じていても課税されます。では、これについても具体的に見てみましょう。
 
  上記と同じ例で(すべて上場株式で、その年中の譲渡とします)  
 
 ●上記申告分離課税では、

                  譲渡価額   取得原価   譲渡損益
           A社株式 100万円 △ 50万円  =  50万円

   これが源泉分離課税ですと、

                  譲渡価額   取得原価   譲渡損益
           A社株式 100万円 △ 1.05   =   10,500円

 ●同じく申告分離課税では、

                  譲渡価額   取得原価   譲渡損益
           B社株式 100万円 △ 120万円 = △ 20万円

   これが源泉分離課税ですと、

                  譲渡価額   取得原価   譲渡損益
           B社株式 
100万円  △  1.05 = 10,500円

    と譲渡損が生じているにもかかわらず、課税されることになります。
どちらが特なのか?
申告分離、源泉分離とも一長一短があり、一概にどちらの方式が良いとも悪いとも言えませんが、総じて譲渡益が生じたときは源泉分離を、譲渡損が生じたときは申告分離を選択した方が節税という点からは効果があると思われます。しかし、申告分離による申告の手間をどのように考えるのか?とか、どのくらいの譲渡損益の差があるのか?にもよりますので、どちらの方式が有利なのか慎重な判断が必要なのは申すまでもありません。最後に、余談になりますが、源泉分離を選択している場合には、いくら多額の譲渡をし、儲けていたとしても、その本人の所得にはなりませんので、これだけに言及するとその譲渡者が親族の扶養控除等の対象になることもできます。
どのように変わるのか?
冒頭でも少し触れたように、今回の改正では単に源泉分離課税が廃止され、申告分離課税に一体化されるだけでなく、申告分離一 体化に伴い様々な軽減策が講じられております。

上場株式等の税率引き下げ
この制度は、上場株式等の譲渡が申告分離課税に一体化されるのに伴い適用される規定で、平成15年1月1日以降の上場株式等の譲渡から適用されます。では、簡単に設例を挙げてご説明しますと、

個人が長期所有(譲渡日における所有期間>1年)の上場株式等を

平成13年10月1日~平成17年12月31日までの間に証券会社を通して譲渡した場合

その年分の長期所有上場株式等の譲渡益から最高100万円の特別控除が受けられる

ことばでは分かり辛いと思いますので、以下、具体的な例を挙げてご説明しましょう。

下記のような場合 (すべて長期所有上場株式で、その年中の譲渡とします)

                    譲渡価額   取得原価    譲渡損益

           A社株式 100万円 △ 50万円  =   50万円

           B社株式 100万円 △ 120万円 = △ 20万円

          譲渡損益の通算= 150万円 △ 20万円=130万円

          譲渡所得 = 130万円
100万円(特別控除) 30万円
                                
                      申告分離の対象

緊急投資優遇措置(塩爺税制)
この制度も、もう既に平成13年11月より始まっております。
こちらもまず、概要から(簡単に箇条書きで)ご説明します。

個人が平成13年11月30日~平成14年12月31日までの間に購入した上場株式等を

平成16年12月31日まで所有し、

平成17年1月1日~平成19年12月31日までの間に譲渡した場合

その上場株式等の取得価額が1,000万円までの譲渡は、非課税とされます

こちらも、ことばでは分かり辛いと思いますので、以下、具体的な例を挙げてご説明しましょう。

下記のような場合(すべて上場株式で、平成14年中に取得したものとします)

  取得価格 譲渡年 譲渡価格 譲渡所得
A社株式 200万円 平成17年 300万円 0円
B社株式 100万円 平成17年 200万円 0円
C社株式 400万円 平成18年 800万円 0円
D社株式 300万円 平成19年 500万円 0円
合   計 1,000万円   1,800万円 0円

上場株式の譲渡にかかる税率引き下げ
この制度は、上場株式等の譲渡が申告分離課税に一体化されるのに伴い導入される規定で、平成15年1月1日以降の上場株式等の譲渡から適用されます。具体的 には、現行の申告分離課税の税率26%(所得税20%、住民税6%)が、20%(所得税15%、住民税5%)に引き下げられます。
さらに、1年超所有の上場株式等の譲渡については、平成15年1月1日から平成17年12月31日までの間の譲渡に限り、申告分離課税の税率
10%(所得税7%、住民税3%)とされます。

上場株式等の譲渡紛失の3年間繰越控除制度
この制度は、上場株式等の譲渡損失で、その年分の他の株式等の譲渡利益と相殺しきれなかった譲渡損失を一定要件のもと翌年以降3年間繰越し、控除できるという規定です。平成15年1月1日以降の譲渡から適用されます。こちらは、ことばでは分かりづらいと思いますので、以下、具体的な例を挙げてご説明しましょう。

下記のような場合 (すべて上場株式で、所定の要件をすべて満たすものとします)

 《平成15年》
                    譲渡価額   取得原価    譲渡損益
           A社株式 200万円 △ 5 00万円  =  300万円

                           翌年以降3年間の繰越、控除の対象

 《平成16年》
                    譲渡価額   取得原価    譲渡損益
           B社株式  300万円 △ 200万円  =  100万円

                 前年繰越のA社株式の譲渡損失と相殺 △100万円
                   
(→翌年繰越のA社株式の譲渡損失200万円

 《平成17年》
                    譲渡価額   取得原価    譲渡損益
           C社株式  250万円 △ 100万円  =  150万円

                 前々年繰越のA社株式の譲渡損失と相殺 △150万円
                   
(→翌年繰越のA社株式の譲渡損失 50万円


 《平成18年》
                    譲渡価額   取得原価    譲渡損益
           D社株式  300万円 △ 100万円  =  200万円

                 前々々年繰越のA社株式の譲渡損失と相殺 △50万円
                   
申告の対象となる譲渡所得   (差引)150万円

仮に、平成18年において譲渡利益が20万円の場合には、前々々年繰越のA社株式の譲渡損失と相殺できるのは譲渡利益金額20万円が限度であり、控除しきれなかった繰越損失金額30万円は切捨てとなります。

上場株式等の8割原価の特例
この規定は、平成13年9月30日以前に取得した上場株式等の譲渡所得(損益)計算上、その譲渡原価となる取得費(取得原価)を選択により実際の取得費に代え、平成13年10月1日の公表最終価格の80%相当額として計算することができるという規定です(実際の取得費よりもこの規定により計算した取得費の金額の方が多い場合には、こちらの規定を適用した方が当然有利となります。)。ただし、この規定は、平成15年1月1日~平成22年12月31日までの間の譲渡についてのみ適用することができます。
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