滋賀県医師協同組合 Shiga Medical Cooperative Association

滋賀県医師協同組合は、滋賀県の開業医のための組合です。


わたしは、現在、個人で診療所を開設しております。ところで、わたしは、昨年、出身大学から校舎建設資金として寄付を依頼され、数口の寄付をしましたが、この寄付金は、税務上、どのように取り扱われるのでしょうか?
確定申告で適用を受けられる方も多い寄付金控除についてお話しします。個人の方(事業者の方に限りません)について、寄付金控除の概要と確定申告でその適用を受ける場合の注意点を具体例を交えてご説明していきます。
意義・概要 種類
控除額 手続き

意義・概要

寄付金控除とは、個人が特定寄付金を支出した場合、下記の算式により算出した金額を所得金額から控除することができるというものです。

 控除額 = その年中の特定寄付金の合計額(注1) △ 10,000円

(注1)その年中の特定寄付金の合計額は、寄付をした者のその年中の総所得金額等(たとえば、その者が給与所得のみの者である場合には、給与所得控除後の金額を指します)の25/100に相当する金額を限度とします。

上記からもお分かりのように、寄付金の額が1万円を超えなければ控除を受けることができませんし、下記  2  でご説明しますが、仮に1万円を超えていたとしても、一定の条件に当てはまるものでなければ、控除を受けることはできません。

種類
寄付金控除の対象となる特定寄付金は、下記に掲げるものをいいます。

(1)国、地方公共団体に対する寄付金
(2)指定寄付金
(3)特定公益増進法人に対する寄付金
(4)政治資金規正法に規定する寄付金
(5)認定非営利活動法人に対する寄付金
(6)特定公益信託の信託財産とするための支出

上記(1)、(4)の寄付金に関しては、名称のままですので内容の説明は省略します。

なお、(4)の寄付金のうち、一定のものについては、選択により所得控除による寄付金控除に代えて税額控除(今回のご質問の内容とは関係ありませんので省略します)の適用を受けることができます。

(2)の寄付金は、主に災害義援金等で一定のものを指します。(3)は、公益(教育、科学の振興等)の増進に著しく寄与する法人として法に限定列挙されたものをいいます。強いて言うならば、国や地方公共団体に準じて公益性の高い事業を行う法人に対する寄付金と言えます。ゆえに、所得控除が認められています。たとえば、日本赤十字社に対する寄付金(上記(2)に該当するものを除きます)が、これに当たります。

 その他、よくあるものに町内会や近所の寺社仏閣(上記(3)の寄付金に該当するものを除きます)、学校の入学に関するものは除かれております。また、法人税法においても同様の規定がありますが、対象となる寄付金の範囲が広く、計算方法も異なる(それだけ注意点も多くなる)ため、実際の適用に当たっては税理士等の専門家への事前の相談をお勧めします。

(5)は、いわゆるNPO法人に対する寄付金ですが、NPO法人なら何でもいいのではなく、ここでいうNPO法人は国税庁長官の認定を受けたものだけを指しますのでご注意下さい。その他詳細については、紙幅の都合上、割愛しますが、上記(5)(6)の寄付金等について控除を受ける場合には、各々受領証その他一定の書類を添付しなければなりませんので、併せてご注意下さい。

言葉だけでは分かり辛いと思いますので、具体的な数値を入れてご説明してみましょう。

控除額


仮に、ご質問者が、出身大学に100万円の寄付をしたとします。ご質問にある校舎建設資金については、上記  2  (1)の寄付金の条件を満たしており、ご質問者の総所得金額等は、3,000万円とします。

   990,000円
 = 1,000,000円 △ 10,000円

     
   “990,000円×税率”の分だけ節税になります。


手続き

この規定の適用を受ける場合には、寄付金の受領証(領収証)(注2)を確定申告書に添付(または提示。通常は添付します)しなければなりません。また、上記2.(3)に掲げる寄付金については、受領証の他、その寄付先の法人が特定公益増進法人である旨の証明書の写しも確定申告書に添付(または提示。通常は添付します)しなければなりません。

(注2)ご参考までに、特定寄付金に該当する寄付金の受領証には、下記のような文言が付されています。以下の文章は、あくまで一例です。
「この寄付金は、法人税法第37条~及び所得税法第78条~○×国税局長より平成17年○月×日付・・・により確認を受けております。よって、個人がなされた寄付金については、「国等に対する寄付金」に該当し、個人がなされた寄付金については、「特定寄付金」に該当します。」云々



わたしは、昨年病気治療のため入院していたこともあり、昨年1年間の医療費が10万円を超えています。そこで、確定申告をして医療費控除により還付を受けようと思っていますが、何やら医療費であっても控除が受けられないものもあると聞いています。そこで、この医療費控除に関し、注意点等を含めて簡単にご説明して下さい。
上記質問の寄付金控除同様、適用を受けられる方が多い医療費控除について、その概要と確定申告で適用を受ける場合の注意点を具体例を交えてお話ししていきます。
概要 範囲
控除額 注意点
手続き    

概要
医療費控除とは、自己または自己と生計を一にする(注1)配偶者その他の親族のために下記  2  に掲げる医療費を支払った場合に、次の算式により計算した金額を所得金額から控除することができるというものです。

 控除額 =( その年分の支払医療費の合計額 △ 補填保険金等(注2)) △ 足切額 
(200万円を限度)

                                                ↑
                         
(その年分の)総所得金額等(注3)×5%(10万円を限度)

(注1)“生計を一にする”とは、必ずしも同居を意味するのではなく、同じ家計(財布)で生活をしているという意味です。

(注2)補填保険金等とは、医療費の補填を目的として支払を受ける生命保険等の医療保険金、入院給付金等や医療費の支出事由を給付原因として支給を受ける健康保険法等に規定する高額療養費、出産育児一時金等を指します。

(注3)ここでいう総所得金額等とは、たとえば、医療費を支出した者の所得が給与所得のみである場合には、給与所得控除後の金額を指します。

範囲
控除の対象となる医療費は、下記に掲げるもののうち、その病状等に応じて一般的に支出される水準を著しく超えないものをいいます。

 (1)医師又は歯科医師による診療又は治療
 (2)治療又は療養に必要な医薬品の購入
 (3)病院、診療所又は助産所へ収容されるための人的役務の提供
 (4)あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師等による施術
 (5)保健師、看護師又は准看護師による療養上の世話
 (6)助産婦による分娩の介助

上記の他、治療等に直接要する付随費用(通院費用、松葉杖等)や一定の介護費用も医療費に含まれます。

言葉だけでは分かり辛いと思いますので、具体的な数値を入れてご説明してみましょう。

控除額
仮に、ご質問者がご自身および生計を一にする親族のために支出した医療費が年間30万円(補填保険金等はないものとします)で、ご質問者の総所得金額等が1,000万円であった場合の医療費控除は、

 
30万円 △ 0円 ) △ 10万円 20万円

                 
 1,000万円 × 5% = 50万円 > 10万円 ∴ 10万円(注4)

(注4)よくいわれる“10万円以上ないと医療費控除が受けられない・・・”は、この足切額を指していますが、もうお分かりのように、すべての者について常に足切額が10万円という訳ではありません。逆算すると、総所得金額等が200万円未満であれば、足切額も10万円未満となりますので、医療費が10万円を超えていなくても医療費控除を受けられることがあります。

注意点
以上のように事例では単純ですが、実務上は対象になるものとならないものがありますので注意が必要です。紙幅の都合上、具体的に対象になる、ならないをここで列挙する訳にはいきませんが、目安としては治療と予防(治療以外)に分けてお考え頂くと分かり易いと思います(もちろんすべてについて当てはまる訳ではありませんが・・・)。ただ、保険診療と自由診療といった区分ではありませんのでご注意下さい。

(例)人間ドック、健康診断、容姿美化のための美容整形等・・・対象外

(注5)その他、医療費は実際に支払われたもののみが対象になりますので、未払いの医療費は実際に支払われるまでは控除の対象にはなりません。

手続き
この規定の適用を受ける場合には、医療費の領収書を確定申告書に添付(または提示。通常は添付します)しなければなりません。


わたしは、昨年自宅が火事に遭い、家屋をはじめ家財一式を焼失してしまいました。このような場合、税法で何か特別な手当(措置)があるのでしょうか?もし何かあるのでしたら、それに関し注意点等を含めて簡単にご説明して下さい。
今回も前回同様、所得控除についてお話しします。今回はあまり聞き慣れないものかもしれませんが、ご質問のような場合に適用がある雑損控除について、その概要と確定申告で適用を受ける場合の注意点を具体例を交えてお話ししていきます。
概要 範囲
控除額 繰越控除
手続き    

概要
雑損控除とは、自己または自己と生計を一にする(注1)配偶者その他の親族で一定の者(注2)の有する下記2.に掲げる資産について災害、盗難もしくは横領(注3)による損失が生じた場合に、次の算式により計算した金額を所得金額から控除することができるというものです。

 控除額 =( 生活用資産の災害等による損失金額(注4) △ 補填保険金等) :(A) 足切額

                                                      ↑

 (1)災害関連支出(注5)≦5万円・・・その年分の総所得金額等×1/10

 (2)   〃     > 〃 ・・・下記のうち、少ない金額
                  ①その年分の(A)△(災害関連支出△5万円)
                  
②上記(1)

 (3)   〃     =(A)・・・下記のうち、少ない金額
                  ①5万円
                  ②上記(1)

(注1)“生計を一にする”とは、前回の医療費控除でもご説明しましたが、必ずしも同居を意味するのではなく、同じ家計(財布)で生活をしているという意味です。

(注2)ここでいう配偶者その他の親族で一定の者とは、その年分の総所得金額等が38万円以下の者を指し、総所得金額等とは、前回の医療費控除同様、たとえば、その者の所得が給与所得のみである場合には、給与所得控除後の金額を指します。

(注3)損失の発生原因は、災害、盗難もしくは横領に限られます。したがって、紛失や詐欺等による損失は控除の対象になりませんのでご注意下さい。

(注4)損失発生直前のその資産の時価を基礎として算出し、下記(注5)の災害関連支出を含みます。

(注5)主として災害等による損失の事後処理費用や原状回復費用等を指します。

(注6)その他、災害による損失の場合には、雑損控除に代えて災害減免法による所得税の軽減免除を受けられる場合もあります。

範囲
控除の対象となる資産は、生活に通常必要な資産(注7)のみを指しますので、下記に掲げるようなものは対象となりません。

 (1)事業用資産(棚卸資産、事業用固定資産等)
 (2)生活に通常必要でない資産(趣味、娯楽、鑑賞等の目的で所有する書画、骨董、貴金属等)

(注7)主として居住用家屋や生活用家財道具等、日常生活を送るのに必要な資産を指しますが、貴石等であっても1個(または1組)の時価が30万円以下(少額)のものは含まれます。

言葉だけでは分かり辛いと思いますので、具体的な数値を入れてご説明してみましょう。

控除額
ご質問者の自宅が火災により全焼し、下記保険金および災害関連支出の受払いがあったと仮定して雑損控除を計算してみます。ちなみに、ご質問者のその年分の総所得金額等は、2,000万円とします。

 建物の被災直前の時価 3,000万円(被災直後の時価 0円)

 建物の補 填 保 険 金 1,000万円

 その他、災害関連支出(焼失した建物の後片付け費用)50万円

 ( 3,000万円 + 50万円 △ 1,000万円 ):(A) 200万円 = 1,850万円

 災害関連支出 > 5万円 ∴上記1.(2)のケースに該当・・・200万円

 (A):2,050万円 > 200万円(=2,000万円×1/10)

(注)①損失金額<補填保険金等・・・損失金額を超える部分の金額は非課税となります
   ②損失金額の計算・・・被災資産ごとに計算し、上記①の超過保険金等と保険金等の
                 対象になっていない被災資産の損失は相殺しません。

繰越控除
雑損控除の金額がその年分の総所得金額等一定の金額から控除しても控除しきれない場合には、その控除しきれない部分の金額は繰り越して翌年以降3年間の各年分の所得金額から順次控除することができます。ただし、繰越に関し所定の手続きが必要となります。

手続き
この規定の適用を受ける場合には、税務署に備付けの「災害を受けた資産の明細書」を確定申告書に添付しなければなりません。また、災害関連支出がある場合には、その領収証を確定申告書に添付(または提示)しなければなりません。


わたしは昨年、勤務していた病院を退職し、診療所を開設しました。そして、今年の3月に初めてその診療所の所得について確定申告をしましたが、慣れないこともあり、申告期限を過ぎてから申告額に間違いがあることに気付きました。このような場合、どうすればいいのでしょうか?
確定申告書を提出した後で、申告漏れにより正当な申告額よりも過少に申告していたり、逆に誤って過大に申告していた場合には、その誤りに気づいた時点で、過少申告のときには「修正申告」を、過大申告のときは「更正の請求」をすることになります。ご質問の内容からは、増額なのか、減額なのか判りませんので、以下それぞれについて簡単にご説明していきます。
修正申告 更正の請求
公平性の欠如    

修正申告
まずは、誤って過少に申告していた場合についてご説明します。この場合には、「修正申告」をすることになります。通常、所得の計上漏れが多く、たとえば、生命保険の満期返戻金や講演料の申告漏れなど臨時の所得の計上漏れが多く見受けられます。うっかりから生じることが多いので、十分お気を付け下さい。
概要
修正申告とは、確定申告書を提出し、その申告期限後に、過少申告による納税額の不足や控除しきれずに繰り越した損失金額が多過ぎること等が判明した場合において、その申告について課税庁(主に税務署)から更正の通知(注1)を受けるまでにその申告額を修正する申告書を提出することをいいます。

(注1)簡単に言うと、課税庁から申告額を是正されることをいいます。
罰則
実際の申告額よりも少なく申告している訳ですから、本来は過少申告加算税(ペナル ティの一種で原則10%)が課されるのですが、誤りに気付き自主的(注2)に修正申告を した場合には課されません。ただし、延滞税(納付遅延に伴う遅滞利息のようなもの) は課されます。

(注2)自主的といっても税務調査で申告漏れが指摘され、調査官からすすめられて修正申告を行うのは、表向きは同じであってもここで言う自主的とは異なります。したがって、その場合には過少申告加算税等のペナルティが課されることになります。
納付
増差額の納付については申告書の提出と同時に行わなければなりません。

更正の請求
次に、先の修正申告とは逆に税金を納め過ぎていた場合等には、「更正の請求」をすることになります。修正申告とは異なり、あまり聞き慣れないと思いますが、単純に減額の修正申告とお考えいただければ分かり易いと思います。よくあるのは、経費の計上漏れや所得控除(扶養控除や障害者控除等)の控除忘れです。こちらもうっかりから生じることが多いので、お気を付け下さい。
概要
更正の請求とは、確定申告書を提出し、その申告期限後に、その申告書の記載金額の計算が税法に従っていなかったり、またはその計算に誤りがあり、過大申告による過大納税や控除しきれずに繰り越した損失金額が少な過ぎること等が判明した場合において申告期限から1年以内に誤った申告額の訂正を行うことをいいます。
請求期限
更正の請求をすることができる期間は、特別な場合を除き、通常法定申告期限から1年以内に限られます。

たとえば、平成16年分の確定申告につき、更正の請求を行う場合の請求期限は、平成16年分の確定申告書の提出期限である平成17年3月15日から1年後の平成18年3月15日ということになります。それを1日でも過ぎてしまうと更正の請求をすることはできません(注3)。

(注3)では、1年を超えた場合には何の救済措置もないのかというとそうでもありません。実務上(あくまで実務上の話です)は、課税庁の長(税務署長等)宛に、「嘆願書」という減額更正(下記3.に出てきますが、法律上、この時点では納税者の側にはどうすることもできませんので、課税庁側に職権により減額してもらうこと)のお願い文書を提出することがあります。ただ、これはあくまで課税庁側が決めることですので、必ずしも納税者の望む結果になるとは限りませんが、何もしないよりはいいと思います。

公平性の欠如
もうすでにお気付きだと思います。そうです。修正申告はその申告につき期間制限がないのに対し、更正の請求については原則1年以内という請求期限が付いているのです。

つまり平たく言うと、「払い忘れは何年前でも構わず払いなさい、ただし、払い過ぎの戻しは1年だけしか認めませんよ」ということです。

今回は、紙幅の都合上、修正申告の期間についての問題は割愛しますが、更正の請求については、課税庁が行う減額更正(過大申告の場合の是正)について5年の期間が設けられています。それから考えると、納税者の側にもそれと同じだけの請求期間が認められなければならないのではないかと思います。

(注4) 課税庁が職権により申告額を増額(または減額)することをいい、例外として事由により各々別に定める期間制限が設けられています。
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