滋賀県医師協同組合 Shiga Medical Cooperative Association

滋賀県医師協同組合は、滋賀県の開業医のための組合です。


わたしは、現在、個人で診療所を開設しており、従業員の年末調整はわたしがしております。今年も年末調整の時期が近づき、税務署から年末調整の関係書類が届きましたが、その中に今年から配偶者特別控除が改正になった旨の内容が載っていました。具体的にどのような改正がなされたのでしょうか?簡単にご説明して下さい。
今回はもうそろそろ年末調整の時期ですので、今年の年末調整から適用される配偶者特別控除の改正について具体例を挙げてご説明していきます。これは昨年の税制改正で決まったものですが、適用が今年からなので今回取り上げてお話しします。
ちなみに、PART10でお話しした公的年金等控除額の改正と老年者控除の廃止については、 平成17年以降からとなりますのでご注意下さい。
配偶者控除と配偶者特別控除 改正内容

配偶者控除と配偶者特別控除
ご存知のように、所得税法上、所得控除のうち配偶者に関するものとして配偶者控除と配偶者特別控除があります。両者の内容は、以下のとおりです。

配偶者控除・・・(条 件)配偶者本人の年間所得金額(注1)≦38万円
         (控除額)38万円

(注1)所得金額とは、その者の収入が給与のみの場合、収入金額そのものを指すのではなく、収入金額(非課税の通勤手当を除きます)から給与所得控除額(収入金額により金額が変わります)を控除した後の金額を指します。この給与所得控除額は、年間収入金額が162.5万円までは65万円となっていますから、仮に配偶者の年収が103万円の場合でしたら、65万円を控除した残額が38万円となりますので、配偶者控除の対象になります。

もう一つ付け加えると、パート従業員等で年収を103万円までに抑えたいという希望がよくあると思いますが、それはこの配偶者控除の関係もありますが、103万円以下の場合、配偶者本人に所得税がかからないため、および配偶者の勤務先で家族手当等支給の条件になっていることがあるためだと思われます(もちろん、後者は一概には言えませんが)。

配偶者特別控除(注2)・・・(条 件)
配偶者本人の年間所得金額が38万円超76万円未満で、
                      もう一方の配偶者(夫又は妻)の年間所得が1,000万 円
                      (給与収入で1,231万円)以下であること
                 (控除額)3万円~38万円(配偶者本人の所得金額により異なります)

(注2)配偶者控除が配偶者本人の年間所得金額が38万円を少しでも超えるとまったく受けられなくなくなることから、所得金額38万円を境にして税の不公平が生じないよう配偶者特別控除が設けられています。

改正内容
平成15年度の税制改正により配偶者控除と配偶者特別控除を合わせて受けることができなくなりました。簡単に言いますと、改正前は、配偶者本人の年間所得金額が38万円以下の場合には、配偶者控除と配偶者特別控除を合わせて最大で76万円受けることができましたが、今回の改正で、配偶者特別控除における配偶者本人の年間所得金額の条件を38万円超76万円未満のみ(改正前は、年間所得が38万円未満の場合にも一定金額の配偶者特別控除が受けられたため、配偶者控除と配偶者特別控除を合わせて受けることができました)にし、配偶者控除と配偶者特別控除を合わせて受けることができなくなりました。

 分かり易いように、具体的な数値を入れてお話してみましょう。

 下記の各々のケースにおいて、改正前後で配偶者控除と配偶者特別控除の金額がどのように変わるか比較してみます(夫の年間所得≦1,000万円とします)。

妻の年間給与収入(無収入を含みます)<70万円の場合

改正前

(配偶者控除)38万円 + (配偶者特別控除)38万円 = 76万円

改正後

(配偶者控除)38万円 + (配偶者特別控除)  0円 = 38万円

 改正により、改正後には配偶者特別控除の適用がなくなるため、課税対象となる所得が増加し、これに税率を乗じた分だけ増税になります。たとえば、設例の者の夫の所得税の適用税率が30%の場合には、38万円×30%=11.4万円/年間の増税ということになります。

②70万円≦妻の年間給与収入<103万円の場合

改正前

(配偶者控除)38万円 + (配偶者特別控除)3~33万円(注3)= 41~71万円

(注3)妻の年間給与収入が103万円に近づくほど、配偶者特別控除の金額は徐々に下がります。

改正後

(配偶者控除)38万円 + (配偶者特別控除)  0円 = 38万円

この場合にも、上記①同様、改正により配偶者特別控除の適用がなくなるため、課税対象となる所得が増加し、これに税率を乗じた分だけ増税になります。

ちなみに、妻の年間給与収入が103万円の場合には、改正の有無にかかわらず、配偶者特別控除の適用はありません。そもそも配偶者特別控除が年間所得38万円を少しでも超える場合に生じる課税の不公平を埋めるために設けられたことから考えてもお分かり頂けると思います。したがって、その場合(103万円)には改正による影響はありません。

③103万円<妻の給与収入<141万円の場合

改正前

(配偶者控除)0円 + (配偶者特別控除)3~38万円 = 3~38万円

改正後

(配偶者控除)0円 + (配偶者特別控除)3~38万円 = 3~38万円

この場合には、改正の内容(配偶者控除と配偶者特別控除の同時適用の廃止)からしてもお分かり頂けると思いますが、従来から同時適用の部分はありませんので、改正による影響はありません。したがって、従来通り、配偶者特別控除のみの適用となります。



わたしは、現在、父の開設する診療所に勤務しており、ここ以外からの収入はないため、毎年、年末調整を受けております。ところで、わたしは、今年、銀行で住宅ローンを組んで自宅を購入しました。その際、銀行の方から初年度のみ確定申告をすれば、翌年から年末調整でも住宅ローン控除が受けられると聞きましたが、本当でしょうか?住宅ローン控除の概要も併せて簡単にご説明して下さい。
今回は、年末調整で適用を受けられる方も多い住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)についてお話しします。この住宅借入金等特別控除は頻繁に改正があり、来年からまた下記のように変わりますので、改正点も踏まえ具体例を挙げてご説明していきます。
住宅借入金等特別控除    

住宅借入金等特別控除
住宅借入金等特別控除とは、住宅ローン等により住宅の購入や新築、増改築等を行い、かつ所定の要件に該当する場合において、その住宅ローン等の年末残高と住宅等の取得価額等を基に算出した金額をその住宅の居住年以後の各年分の所得税額から控除できるというものです。控除期間は、居住の用に供した年に応じ、各々下記のようになります。

≪住宅借入金等特別控除の適用表≫
居 住 年 控 除 期 間 住宅借入金等の
年末残高
適 用 年 控 除 率
平成16年 10年間 5,000万円以下 1~10年目 1%
平成17年 同  上 4,000万円以下 1~ 8年目
9~10年目
1%
0.5%
平成18年 同  上 3,000万円以下 1~ 7年目
8~10年目
1%
0.5%
平成19年 同  上 2,500万円以下 1~ 6年目
7~10年目
1%
0.5%
平成20年 同  上 2,000万円以下 1~ 6年目
9~10年目
1%
0.5%

言葉では分かりづらいと思いますので、具体的な数値を入れてご説明しましょう。

例 1 甲さんは、平成16年に下記の住宅を取得し、居住の用に供しております。なお、甲さんは住宅借入金等特別控除の適用要件を具備しているものとします。

   甲さんの所得税額      30万円(この規定適用前)
   住宅の取得価額    3,000万円
   住宅ローンの年末残高 2,500万円
    2,500万円×1%=25万円

   
・・・住宅借入金等特別控除額として、平成16年分の所得税額から控除されます。

   
差引所得税額)30万円 △ 25万円 = 5万円(注1)

(注1)ただし、この規定の適用前の所得税額が限度となります。つまり、この例における甲さんの所得税額が仮に18万円だった場合、住宅借入金等特別控除の方が所得税額より7万円多くなりますが、その超える部分の金額7万円は還付されず、切り捨てられることになります。

次に、(例1)の甲さんが、平成16年ではなく、翌年の平成17年に住宅を取得等していた場合には、平成16年に取得等していた場合と10年間にわたり控除を受けることができる金額にどれくらいの差が出るのでしょうか?(例2)で見てみましょう。

 住宅の購入価額および住宅ローンの年末残高は(例1)と同様とします。
今回のケースでは、甲さんの所得税額は考慮外とし、その他の条件は(例1)とすべて同様とし、借入元金は毎年100万円ずつ減少していくものとします。

(平成16年取得等の場合) 平成16~25年  205万円/10年

(平成17年取得等の場合) 平成17~26年  187.5万円/10年  控除総額の差額 17.5万円

上記適用表によると、当初の1~8年目までは、控除額は平成16年取得等の場合と変わりませんが、9~10年目にかけては年末残高に乗じる率が1%→0.5%になりますので、若干減少します。したがって、住宅借入金等特別控除の適用をお考えならば、できるだけ早いうち適用を受けた方が得ということになります。

ご質問のような給与所得者の方の場合には、仰るとおり初年度のみ確定申告が必要となり、翌年からは年末調整で住宅借入金等特別控除を受けることができます。ただ、その場合には、初年度の確定申告の際に、「給与所得者の住宅取得等特別控除申告書」を税務署で発行してもらう手続きをしておく必要があります。この申告書は、翌年以降、勤務先で年末調整を受けられる場合に必要となりますので、必ず発行してもらって下さい。

(注2)住宅借入金等特別控除を受けるには、住宅の床面積、適用を受ける者の所得その他いくつかの適用要件があります。したがって、実際の適用を受けるに際しては、税理士等の専門家への事前の相談をお勧めします。

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